スカッシュのレット・ストローク・ノーレットの違い|2025年規則で判定例を解説

スカッシュコートで2人の選手が接近しながらボールを追う様子

スポンサーリンク

スカッシュの「レット」はラリーをやり直す判定、「ストローク」は妨害を受けた選手などにラリーの勝ちを与える判定、「ノーレット」はやり直し要求を認めずラリーを相手の勝ちとする判定です。相手が近くにいたから必ずレット、接触したから必ずストローク、というルールではありません。

この記事は、2025年9月版のワールドスカッシュ公式シングルス規則(World Squash Officiating掲載)を基準に、初心者が審判の判断を理解するためのものです。ダブルスや特別な大会規定は別途確認してください。更新確認日:2026年11月2日。

まず3つの判定の違いを比較

コール結果代表的な判断の方向
レット(Yes Let)そのラリーをやり直す打ち返せる可能性があり、相手も妨害を避ける努力をしていた
ストローク(Stroke)妨害を受けた側などにラリーを与える返球可能だったのに相手が十分に避けなかった、妥当なスイングが妨げられた等
ノーレット(No Let)申告によるやり直しを認めない返球できなかった、妨害がごく小さい、申告側が妨害を作った等

これは学習用の概略です。同じように見えても、打てたボールの位置・相手の動き・進路・スイングの合理性・打球の行き先によって結論が変わります。公式規則はWorld Squash Officiating「Rules of Squash」の第8条を参照してください。JSAのルール紹介ページにも日本語の基本説明があります。

レット・ストローク・ノーレットの判断を順番に考える

1.本当に妨害があったか

相手との距離が近くても、ボールを見て追い、妥当なスイングを行うのに支障がなければ妨害とは限りません。世界公式規則8.6.1は妨害も合理的なけがの恐れもない場合、8.6.4は返球を妨げない軽微な妨害の場合、それぞれノーレットとします。

2.申告した選手は良い返球ができたか

相手が立っていなくても届かないボールだった場合、原則としてノーレットです(規則8.6.2)。ただし選手が危険を避けるために止まった場合など、状況の全体を審判が判断します。

3.ボールに向かう側と打った側は、それぞれ努力したか

前の打球者は合理的なフォロースルーの後、相手がボールを見て、移動し、妥当なスイングをするための空間を作る必要があります。一方、次に打つ選手にも、無用な接触を起こさずボールへ向かう努力が求められます。打った側が十分に退避せず、相手が良い返球をできたならストローク(8.6.5)。十分に退避しようとしていて返球可能ならレット(8.6.6)が基本です。

4.ラケットを振る空間や、フロントウォールへの打球を妨げたか

合理的なスイングが相手の位置で完全に妨げられた場合はストローク(8.9.2)。スイングが影響を受けただけで相手が退避努力をしていた場合は、通常レットですが、決定打となる返球を妨げられたならストロークになります(8.9.1)。ボールが相手に当たりそうな進路の事例は別に規則8.11があり、条件によってストローク・レットが分かれます。

スポンサーリンク

よくある5つの場面を2025年規則に照らしてみる

仮の場面判断の目安参照条項
球がコーナーへ抜け、どのみち追いつけなかったノーレットになりやすい8.6.2
かすかな接触はあったが、自由に返球できたノーレットになりやすい8.6.4
返球は可能、相手も急いで退避していたレットになりやすい8.6.6
返球は可能なのに相手が退避しなかったストロークになりやすい8.6.5
自然なラケットスイング自体が相手の位置で妨げられたストロークの対象8.9.2

上の例は実際の審判判定の再現ではない仮想ケースです。2025年規則は、進路を自分から相手の方へ変えて妨害を作った場合(8.8.2)や過大なスイング(8.10)について別の取り扱いを定めています。単純な表だけで実戦の裁定を決めることはできません。

同じ妨害でも結果が変わる3つの例外

次のケースは、単純な「妨害がある=レット」という判断では見落としやすい場面です。いずれも2025年9月版シングルス規則の学習用仮想例であり、実際の試合はレフリーが打球の進路と両選手の動きを総合して判定します。

  • 相手にボールが直接当たりそうで打つのを止めた:前壁への直接の打球経路に相手がいる場合は、条件によりストロークとなります。ただしターン後や打ち直しの場合などはレットとなる例外があります(8.11.1)。
  • 相手に近づく進路を自分で選んだ:打球に到達できる自然な経路があったのに、妨害を引き起こす進路を選んで止まった場合は、原則ノーレットです。相手を避けつつ合理的に返球しようとしたかを確認します(8.8.2、8.8.3)。
  • 大きすぎるスイングで相手に近づいた:必要以上の振りによって妨害を自分で作った場合はノーレットが基本です。過大な振りを強調してストロークを狙った場合などには別の扱いがあります(8.10.1〜8.10.2)。

安全のために止まる判断は重要ですが、それだけで特定の判定が保証されるわけではありません。無理に打球したり接触を起こしたりせず、速やかに審判へ申告してください。ルールの詳細は公式規則第8条を参照してください。

「相手が近い」と感じたときの安全な対応

  • ラケットが相手に当たりそうなときは、危険なスイングを続けない
  • その場でプレーを止め、速やかに「レット・プリーズ」と申告する
  • 選手同士で押す・進路をふさぐなどして有利な判定を狙わない
  • 審判の判定を待ち、レットなら得点を変えずにラリーを再開する
  • 審判がいない練習では、事前に危険を感じた場面の取り扱いを互いに確認しておく

2026年に世界審判組織は主にプロ・シニア競技での判定の一貫性を目指すフレームワークも公表し、意図的な接触や妨害の演出はフェアプレー違反として問題にしています。Tポジションに立っているという理由だけで退避義務がなくなることもありません。WSO公式:Officiating Standards Framework

「レット・プリーズ」はいつ言えばよい?

安全な返球が困難だと判断したら、危険な打球を無理に続けず速やかに申告します。妨害を越えてプレーを続け、その後でレットを求めても、原則ノーレットです(8.6.3)。また打球後に状況が変わったケースや、振り直し・ターンを伴う場合には追加規定があります。申告すれば自動的にレットになるわけではありません。

初心者が誤解しやすい点

接触があれば必ずストローク?

いいえ。接触の有無だけで決まらず、返球可能性・進路・退避努力を審判が判断します。危険な接触を意図的に作った選手が有利になるとも限りません。

ストロークは必ず「勝てたはずのショット」のときだけ?

いいえ。勝ちを決めるはずだった打球が妨げられたケースだけでなく、相手が退避努力をしないまま良い返球を妨げた場合(8.6.5)や、自然なスイングを妨げた場合(8.9.2)もストロークの対象となります。

レフリーなしでゲームする場合は?

競技規則を理解した上で、安全優先のローカルな運用を事前に取り決めてください。練習中に同じ場面が繰り返されるなら、コートでの立ち位置やクリアの方法を指導者と見直しましょう。

まとめ:先に安全、判定は妨害と返球可能性で考える

ストローク・レット・ノーレットを見分けるには、妨害があったか、返球できたか、どちらが退避やボールへの努力をしたかを考えるのが出発点です。最終判定にはラケットスイングやボールの進路などの例外もあります。

競技全体のルールは初心者向けスカッシュのルール、打ち方や1人練習はスカッシュの打ち方と練習方法、関連テーマの入口はスカッシュ総合ガイドを参考にしてください。

参考:競技団体の公式資料

スポンサーリンク